『花子とアン』に出てくる蓮さまのモデルは、のちに歌人として名を馳せる柳原白蓮さん
育った環境がまったく違う花子と蓮さまの二人が親友となるのは新鮮ですが、
花子と蓮さまは心の底にある孤独のようなものを共に持っていたのではないかと思います
花子には蓮さまのわがままぶりが、別世界のことのように見えて気にかかり
蓮さまが何を考えているのか不思議と分かるような、
共通に感じるものを持っていたのでしょう
お互いの影響の与え方などは恋愛に似ていて、
蓮さまの婚約で、一度、花子は親友を失った悲しみの底に陥ります
そして一度は絶交しますが、そのあとの友情はさらに深まっていくのです
二人が強く生きられたのは、お互いに励まし合い、
勇気づけ合って生きることができたからなのでしょうか
蓮さまが社会運動家の法学士と駆け落ちした事件(白蓮事件)で世間を騒がしていても
花子は、蓮さまに手紙を送っています
“どんな場合にもあなたと私は「蓮さま」と「花ちゃん」ですから、
どうぞどこまでも一緒に行き度いと思ひます”
※白蓮事件の直後に白蓮へ宛てた村岡花子の手紙(1922.3.1付)より
腹心の友のこの言葉は、何もかも失って愛一つにすがるしかなかった
蓮さまをどんなに励ましたことでしょう
人生の選択において、いい結婚をしたいと思いながらも、もっと勉強を続けたいとか、
まだ本当の恋をしたことがないとか、それは今の女性たちの悩みと同じですよね
当時は今よりもっと先が見えにくい時代でした
人は先が見えないととても不安を感じるものです
でも、花子はそれをまったく恐れていなかった
明日がどうなるかなんてわからない、良いことが起こるかもしれない
そういう考え方ができた人です
いつも生活の不安を抱え、明日の自分が見えない方に、
ぜひこのテレビ小説『花子とアン』を観てほしいと思っています